Integrated Report 2022
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ドラマで定住促進にアプローチ — しまねがドラマになるなんて!

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    読売広告社 「しまねがドラマになるなんて!」チーム

    (左から)角田、吉野、糠塚、田中

    「しまねがドラマになるなんて!」は、生まれも育ちも島根の男子高校生3人組がふるさとを持たない転勤族の転校生・東 京子と出会い、自分たちのふるさと・島根の魅力と出会い直していく青春連続ミニドラマです。読売広告社が企画制作し、パートナー企業である地元テレビ局・新聞社と連携。地元媒体社×ドラマという新しい手法により山陰地区で最高視聴率19.1%と高い反響を呼ぶなど若年層の地元に対する魅力再発見とイメージ向上に貢献しました。
    島根県は日本の中でも2番目に人口が少ない県。日本全体の少子高齢化に加え、大学進学・就職を機に、島根県を離れてしまう若者が多く、また一度離れてしまったらなかなか戻ってこないという状況に置かれています。
    課題は、島根県民の、ふるさと・島根への肯定感が低いため、ふるさとへの肯定感を上げることでした。その上で、特に中高生に、島根県で暮らす、またいずれ戻ってくることのメリットを知ってもらい、自分の人生の舞台の選択肢に島根が積極的に想起されるようになることを目指しました。

  • 進路・ふるさとへの様々な想いを持つ登場人物で構成。
    どの中高生が見ても、感情移入しやすいように工夫。

  • 転勤族でふるさとがない、東京からの転校生をヒロインとして設定。都会の視点で見た島根の魅力に自然と気づけるように設計。

  • 各話「しまネタ」と呼ばれる島根の人にしかわからない地元ネタをモチーフに採用。バラパンは「君はバラパンより美しい」、木次牛乳は「今すぐKisuki」、石見神楽は「石見神楽の怪人」など有名な映画や歌謡曲のタイトルになぞらえて展開。地元の何気ない日常をドラマにし、島根の日常をヒーロー化。

  • 1話5分で完結!いつ見てもわかりやすく、あまり構えずに、すぐに見られる手軽さを追求。

ドラマでは多くの島根県民が当たり前だと思っている日常を「自分ごととして楽しめるエンタテインメント」としてドラマの主役に昇華することで地元への肯定感を高めることを狙いました。
特に中高生を中心とした島根県民の島根に対する肯定感を醸成するため、上記4つのポイントを押さえた企画・表現を設計しました。
話題化を図るために、地元媒体社の発信力×若年層に届けるデジタルを最大限活用、県内高校生の認知率は85%を超えました。
このメディア戦略では、以下4つのポイントを押さえた設計を行いました。

  • ドラマ開始前の事前盛り上げを創出

    島根県民の7割以上が購読している山陰中央新報、ドラマ放送局であるTSK、Twitter、TikTok、Instagramなどで島根県民にターゲットを絞り、告知。

  • ドラマ放送当日の朝にリマインド

    山陰中央新報で、各回の「しまネタ」をフックにドラマを見たくなる気持ちを後押し。

  • 見やすい環境づくり

    ドラマはテレビのゴールデンタイムに放送。WEBでも見られるようにし、中高生にもすぐに見やすい環境を設計。

  • ドラマ放送翌日におさらい広告を展開

    ドラマ放送翌朝の山陰中央新報に、各回に沿った島根のメリットを記事広告として出稿。ドラマの内容と併せて島根の良さを理解してもらいやすい場を設定。

島根県内の高校生アンケートでは、ドラマを視聴した高校生の半数を超える54.7%が島根のことが好きになったと回答するなど、地元の魅力発見につながり、ドラマを通じて定住意向が高まったと言える結果となりました。
ドラマの感想も多数寄せられ、「見慣れた景色が当たり前ではないことを知ることができた」「自分が帰れる場所があるって素敵なこと」など狙い通りの反響を呼ぶことができました。
2021年の反響を受け、2022年も続編の制作が進行中です。このドラマを通して、多くの方の「島根を見る目」が変わることを期待しています。

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    角田 島根県庁様2年越しのチャレンジ。前回のプロポーザルでは、競合関係で参加していた当社、(株)山陰中央新報社、山陰中央テレビジョン放送(株)の3社すべて敗退し、今回こそは絶対に勝ち取るという想いから3社コンソーシアムで参加するという異例中の異例のタッグチーム。座組が成立するのに時間を要しましたが、この座組こそが大きな勝ちポイントの1つであったことは間違いありません。地元メディアとの結び付きは非常に重要だと改めて感じた取り組みでした。

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    糠塚 「島根の人に、島根をふるさととして代えがたいものと思ってもらう」ことをゴールにする仕事は、企業ブランドを好きになってもらう仕事とは別の責任があると感じました。地元の方々と一体になってプロジェクト全体を進められたことは貴重な経験です。

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    吉野 得意先と制作チームが同じ視点でプロジェクト進行できたため、いいたいことを詰め込んだPRドラマではなく、ドラマ自体が価値あるコンテンツになり全話高視聴率をキープできた。また地元最強のコンソーシアムを組めた結果、ドラマだけでなく新聞や高校など県内各所が協力して本プロジェクトを成功につなげることができた取り組みでした。

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    田中 通常の広告プロモーションとは異なり、日を追うごとにプロモーションに人格が形成され、どんどんコンテンツに変化していくような、面白い仕事でした。

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    肥後 自分の出身地の魅力を、観光資源でない部分から突き詰めて考えることなんて滅多にないので、貴重な体験でした。参加型企画への島根県民の方のモチベーションもとても高く、島根の良さを改めて実感しました。

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    小池 「しまドラ」をつくると決まった時から、「エキストラ募集」や「しまドラテスト」などのデジタルの仕掛けを実行するまで、終始心躍るプロジェクトでした。島根県庁様の決断力は、しまドラ実現には欠かせなかったと感じます。