当社グループは、2019年5月に2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表し、各種取り組みを進めてきましたが、コロナ禍の影響によりビジネス環境が激変したことを受けいったん目標を取り下げ、2022年2月に、2022年3月期から3年間の見直し中期経営計画を発表しました。
中期経営計画
中期経営計画の見直し
数値目標
当社グループは、2022年3月期から2024年3月期までの3年間を、「提供サービスと事業基盤の変革を加速する期間」と位置付け、中長期的に大きな成長を目指す土台を盤石なものにしていきます。
- 調整後売上総利益年平均成長率
- +7%以上
- 調整後のれん償却前営業利益
年平均成長率 - +7%以上
- のれん償却前営業利益
- 650億円以上
重点指標
- 調整後のれん償却前
オペレーティング・マージン - 15%程度
- のれん償却前ROE
- 10%以上
2022年3月期における進捗
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調整後*1売上総利益
*1 調整後:投資事業除き
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調整後のれん償却前営業利益/
オペレーティング・マージン※ 棒グラフ/左軸:調整後のれん償却前営業利益
折れ線/右軸:調整後のれん償却前オペレーティング・マージン -
のれん償却前営業利益
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のれん償却前ROE
重点領域の目標水準
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マーケティング実践領域売上総利益*2
*2 国内事業を対象に集計/コロナ関連のBPO業務除き
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インターネット領域売上高*3
*3 対象は国内事業の連結ベース
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海外事業領域売上総利益
環境認識と基本戦略
環境認識
コロナ禍の影響により、生活全体のデジタル化が進み、あらゆる面で、当社グループを取り巻く環境は激変しました。
オールデジタル化による環境の激変
オンラインサービスが急速に普及し、常時接続型へとライフスタイルが急速に変化しました。業界の垣根を越えた新たなサービス/市場が勃興し、産業の枠組みの再定義が進行しています。あらゆるモノがインターネットとつながる世界が現実となり、モノと生活者の関係は単なる「接点」ではなく、相互に情報のやりとりをする「インターフェース」に進化してきています。
生活者インターフェース市場の拡大
生活者インターフェース市場では、身の回りのモノ、デバイス、店舗、メディアがネットワークにつながり、データ化され、インターフェース化します。企業はそれらを活用することで、一人ひとりの生活者に最適化したサービスを提供することが可能になります。
間接接点から直接接点への拡張
「生活者インターフェース市場」が拡大する中では、企業のマーケティングニーズも変化していきます。これからの企業と生活者のつながりは、広告などの「間接接点」のみならず、店舗やECサイトなどの「直接接点」が重要となり、それら全体をデータで統合管理することが求められるようになると考えています。
中期基本戦略
博報堂DYグループは、
生活者発想を基軸に、クリエイティビティ、
統合力、データ/テクノロジー活用力を
融合することで、
オールデジタル時代に
おける企業の
マーケティングの進化と、
イノベーション創出をリードする。
そのことで、生活者、社会全体に新たな価値と
インパクトを与え続ける存在になる。
ビジネス環境の変化を受け、これまで掲げてきた中期基本戦略は継続しつつ、グループ全体をアップデートする下記の4つの取り組みを進めていきます。2022年3月期から2024年3月期までの3年間を、得意先のマーケティングとイノベーション両課題の解決をリードし、得意先・自社のサステナブルな成長を実現するために「提供サービスと事業基盤の変革を加速する期間」と位置付けます。
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1
提供サービスの変革“生活者データ・ドリブン”フルファネルマーケティングの実践
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2
変革を加速する横串機能の強化
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3
従来戦略に基づく変革の継続
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4
サステナブルな企業経営のための基盤強化
グループ全体をアップデートする4つの取り組み
1提供サービスの変革“生活者データ・ドリブン”フルファネルマーケティングの実践
急速なオールデジタル化を背景に、データをもとに認知、興味、検討からCRMまで一気通貫でアプローチする「フルファネル型マーケティング」へのニーズが高まっています。生活者データ・ドリブン・マーケティングをフルファネルで実践する形へ変化させるために、3つの戦略施策を進めます。
マーケティング実践領域の拡張
生活者インターフェース市場が拡大する中で、マーケティング実践領域への機能拡張は必須要件となっています。今後もマーケティング実践領域を強化し、フルファネルマーケティング対応力を強化します。また、オンラインサービス増加時に必須となる領域の機能整備、社会課題解決の実業務など広告領域を超えて、マーケティング活動の実践をサポートしていきます。
本施策の進捗を測るため、マーケティング実践領域での売上総利益伸長率「年率+10%以上」を中期経営計画期間の目標として設定します。
メディアビジネスの変革
AaaSによる「広告枠」というモノを売る産業から、広告効果の最大化という「サービス」を提供する産業へのビジネス変革に注力し、メディアの付加価値向上による既存ビジネスの維持/拡大を推進します。また、グループ内に得意先の成長に合わせたデジタルサービス提供のエコシステムを構築します。インターネット領域の売上高伸長率目標を年率+15%以上と設定します。
生活者起点でのDX推進
当社グループが提供するDX業務は、生活者を起点としながら、企業のマーケティングや事業そのものに変革をもたらし、さらには社会に変革を生み出すことを目指しています。
2変革を加速する横串機能の強化
変革を加速し、グループ総体としての競争力を高めるために、従来のメディア機能に加え、新たに下図の「3つのグループ横串機能の強化」を行い、グループ全体最適の視点をより重視した経営を進めていきます。
これからの時代における競争力強化には、テクノロジーの活用が不可欠と考えています。当社グループは、よりテクノロジードリブンな企業体へ進化するため、グループ共通の基盤として「コア」となるテクノロジー新会社「博報堂テクノロジーズ」を設立しました。今後積極的な投資を行い、博報堂DYグループのクリエイティビティとテクノロジーの融合により、マーケティングビジネスのイノベーションを推進していきます。
3従来戦略に基づく変革の継続
従来戦略を継続しバージョンアップを図る戦略では、「ボーダーレス化する企業活動への対応力強化」については、得意先のグローバルシフト、専門性・先進性、“生活者データ・ドリブンフルファネルマーケティング”の3つの要素を起点とした海外事業の強化を継続します。また、「外部連携によるイノベーションの加速」については、これまでの連携基盤強化を継続しつつ、生活者に対して新たな価値を提供する新規事業開発を推進していきます。
外部連携によるイノベーションの加速
4サステナブルな企業経営のための基盤強化
当社グループの成長を支える最大の要素は「ヒト」であり、今後もグループが中長期的に大きく成長し、かつ魅力的な企業になるためには、「人財」への積極投資が最も重要であると認識しています。短期的にはコスト先行となるような施策も含め、下記のような様々な取り組みを進め、社員が「クリエイティビティを最大限発揮できる環境の整備」を目指します。