Integrated Report 2022
Hakuhodo DY Holdings
Integrated Report 2022

全米でのPCR検査普及に向けて — プロジェクト・キオスク

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    Gehl
    「プロジェクト・キオスク」メンバー

    (上段左から)ブレイン・マーカー、ソフィー・クヴィスト、
    サイモン・ソチャス

    (下段左から)アドリアーナ・エイカース、レベッカ・クック

    ワクチンにより新型コロナウイルスから人々が守られるようになるまで、PCR検査の普及は学校や職場、公共空間の安全な再開の鍵を握っていました。今ではファイザーやモデルナのようなワクチンを開発した企業の急速な技術革新によって、自宅でできるPCR検査もほぼ当たり前になりました。しかし、当初はわからないことが多く、トライアンドエラーを繰り返すしかない状況が続いていました。
    コロナ禍の当初、PCR検査に対する需要は常に供給を上回っていました。検査ができるようになっても、PCR検査をする必要性が最も高い人々が検査を受けにくい状況でした。統計的に見て、社会的弱者の感染リスクが高いことを考えれば、これは特に不当な事実と言えるでしょう。また、効率的に検査しやすい都心部への通勤・通学をせず、家にとどまる人が増える中で、多数の人に集団PCR検査を受けさせることも難しくなっていました。
    コロナ禍の中でPCR検査とワクチン接種の普及を図ったことで有名になった新型コロナ検査関連スタートアップのCurativeは、非侵襲的口腔スワブPCR検査を発明し、この分野で草分け的なパイオニアの1つとなりました。しかしながら、Curativeは、全米の都市に自社のサービスを普及させる手段を持っていませんでした。この課題を解決するため、Curativeは地域社会をインフラとして活用し、最も検査を必要とする人々が検査を受けられるようにするためのPCR検査普及システムの開発をkyu参画企業のGehl Architects Holding(Gehl)に依頼しました。

    Gehl社の概要

    • 社名

      Gehl Architects Holding ApS

    • 事務所所在地

      コペンハーゲン(本社)、ニューヨーク、サンフランシスコ

    • 創業

      2000年

    • kyu参画

      2022年

    • 従業員数

      86人(2022年3月末現在)

    • 事業内容

      都市開発戦略や計画の提案、共用スペースなどのデザイン、空間開発のマスタープランの設計、都市開発に関連する地域・行政などのステークホルダーの合意形成・プロジェクト進行、インフラ稼動後の調査、モビリティ戦略・企画開発

2020年7月にプロジェクトを立ち上げたGehlチームは、この問題の解決には、(1)人間中心のデザインによるPCR検査体験の開発と(2)全米規模で運用可能な展開戦略という、2つのレベルの解決策が必要であることを認識しました。その実現を図るためには、効率と品質設計とのバランスの間で効果的なサービスを提供しつつ、刻々と拡大する世界的パンデミックに対処する必要がありました。

地域住民へのヒアリング

プロトタイプ作成

Gehlチームはわずか数週間で、サービスのプロトタイプと展開戦略を開発しました。こうして生まれたのが「プロジェクト・キオスク」です。Gehlのデザインチームはキオスクのプロトタイプとして、医療従事者を必要とせず、かつ安全で簡単な自分一人でできる独自のPCR検査キットを備えた、約50平方フィート(約4.6m2)の移動式検査キオスクを開発しました。同時に、Gehlの戦略チームは、Curativeとその実装パートナーが新たな検査会場を戦略的に特定し、最も必要とされる場所に検査キオスクを設置するためのデータドリブン・ツールも開発しています。この移動式検査キオスクとデータドリブンな会場設定手段により、Curativeは既存の検査システムのギャップを埋め、より均等かつ公平な検査ネットワークを全米規模で展開できるようになりました。
デザインの構想と開発の段階で、Gehlは情報デザイナーとの連携により、年齢や能力、背景の異なるあらゆる人々が、一人で簡単にPCR検査をできるよう、検査のステップとプロセスを徹底的に見直し、通常26工程あった検査のステップを6工程に減らし、劇的に簡素化しました。GehlはGISモデルを採用し、都市の中でも疫学的必要性が高く、かつ、十分なサービスを受けられていない人々に手を差し伸べられる可能性が最も高いエリアを特定し、検査会場候補地の立地要因を洗い出しました。また、チームは現地の事情に柔軟に適応できるような候補地の立地選定モデリング・ツールを設計しました。キオスクの設計と立地を、Gehlの人間中心のデータドリブンなアプローチと組み合わせることで、Curativeは全米の30ヵ所を超える都市に、より均等かつ公平に分布する検査ネットワークを整備しました。
2020年の協業以来、CurativeにとってのGehlの役割はより大きくなっています。BEworksやIDEO、SYPartnersといった他のkyuメンバー企業の支援も受けながら、Gehlは2022年にテキサス州オースティンで立ち上げられた地域密着型医療システムの構想と開発についても、Curativeと協業しています。Gehlは新型コロナウイルスへの対処に貢献するだけでなく、全米の健康公平性の向上にも一役買っているのです。

簡素化したPCR検査ステップ

導入優先度スコア(カリフォルニア州バークレー)

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    新型コロナウイルスのPCR検査は、疫学的な課題にとどまりません。それは都市計画の課題でもあります。街路や公共空間、都市が、どのようにして人々に検査を促す機能を果たすかを理解しなければならないからです。Gehlはこの理解に基づき、サービス提供上の問題について革新的な地域密着型のソリューションを考案しました。このソリューションは現在、あらゆる場所の人々が公平かつ広範な検査を受けられるよう、幅広く活用されています。

    ブレイン・マーカーGehl Architects Holding取締役
    パートナー兼気候変動対策責任者