Integrated Report 2022
Hakuhodo DY Holdings
Integrated Report 2022

“生活者データ・ドリブン”
フルファネルマーケティング実践
に向けた提供サービスの変革

統合報告書2022 “生活者データ・ドリブン”フルファネルマーケティング実践に向けた提供サービスの変革ページのメインビジュアル
取締役副社長
デジタル事業推進
ユニット長
矢嶋 弘毅

「生活者インターフェース市場」の拡大に向け

2つのDXを加速し、提供サービスの変革を実現します

オールデジタル化の進展によって、ヒトとモノの境界線に新たな生活者インターフェース市場が誕生し、加速度的に拡大しています。当社グループはマーケティングDXとメディアDXを融合し、これまで先行してきた“生活者データ・ドリブン”マーケティングをフルファネルで実践できる形へと進化させ、変化する企業のニーズに応えていきます。

オールデジタル化社会により、企業のマーケティングニーズが変化

コロナ禍をきっかけにオンラインサービスの普及が加速し、生活全体のデジタル化がいっそう進んでいます。モノと生活者の関係も単なる「接点」から、相互に情報が行き来する「インターフェース」へと進化し、当社グループが以前より提唱している「生活者インターフェース市場」がどんどん生まれ、そして拡大しています。
生活者の身の回りのモノ、デバイス、店舗、メディアがネットワークにつながる中、広告などの間接接点と店舗やECサイトなどの直接接点において得られるデータを統合して管理・活用することによって、生活者一人ひとりに最適な商品・サービスを提供することが可能となり、企業のマーケティング活動も大きく変わってきています。また、テレビ、タブレット、スマートフォン、車、家電、住宅など、あらゆるところに「モニター」が使われ接触頻度が増えています。モニターを起点とした様々なコミュニケーション手法が新たに生まれることで、私たちのビジネス機会はさらに大きく広がると期待しています。

より高度なマーケティング・コミュニケーションサービスへ

これまでは広告コミュニケーション開発が当社グループ事業の中心領域でしたが、企業のマーケティング活動全般に関わるデータがすべてデジタル化し、コミュニケーションデータとの融合が進んだことから、より高度なマーケティング機能を付加したサービスを提供し、その効果と成果にまでコミットすることが求められるようになっています。当社グループにとっては、特に以下の3つの要素が不可欠となってきます。
1つ目は、インテグレーション、“統合ソリューションの提供”です。
認知拡大や好意度向上などを主眼としたコミュニケーション効果と、WEBサイトへの誘導や商品・サービスの販売、顧客獲得に至るまでのマーケティング活動全体の効果をつなぎ合わせ、統合ソリューションとして提供することが求められています。また、メディアに関しては、テレビとデジタルに関しては、同じ指標を用いて運用していく必要があり、そのためにはベースとなるプラットフォームも必要となります。
2つ目は、“ダイナミックデータの活用”です。
調査データなどのこれまで蓄積されてきた静的なデータに加え、インターネットのアクセスデータやログ履歴などの動的データ、つまりはダイナミックデータの重要性が高まっており、ダイナミックデータをベースにしながら、クライアント企業のマーケティング活動に寄与するサービスに進化させなければなりません。
3つ目は、ビジュアライゼーション、“可視化モデルの推進”です。
運用型広告は常時接続を前提にPDCAを非断続的に回すモデルです。それを実現するためには、データや広告効果を可視化するシステムをつくる必要があります。これまで広告の効果は見えない要素がありましたが、テクノロジーによって、“見える化モデル”へ変えていかなければなりません。

より高度なマーケティング機能を付加したサービス提供に不可欠な要素が「統合ソリューションの提供」「ダイナミックデータの活用」「可視化モデルの推進」です

統合データ基盤の活用方法

統合データ基盤の活用方法

フルファネルマーケティング実践のために2つのDXを推進

提供サービスの変革に向けて、これまで業界で先行してきた“生活者データ・ドリブン”マーケティングを、認知、興味、検討、購入からリピート、CRMまで一気通貫でアプローチするフルファネルマーケティングへと進化させるため、2つのDXである「マーケティングDX」「メディアDX」を推進しています。
マーケティングDXでは、クライアント企業からお預かりするデータに加えて、当社グループやメディア側が保有するデータを活用したマーケティング提案を強化するとともに、プラットフォーマーとの連携スピードの向上を図っています。
メディアDXにおいては、生活者との媒体・接点となるメディアやプラットフォームが多様化、分散化する中で、あらゆる広告メディアを横断的・統合的に運用しながら、マーケティングDXで得られたデータやナレッジを融合し、コミュニケーション効果とマーケティング成果の両面を保証した高度なクライアントサービスへと変革していきます。マーケティングDXとメディアDXの推進に向けたソリューション開発体制の整備については、2021年4月に発足したグループ横断戦略組織「HAKUHODO DX_UNITED」のもとで取り組みを進めており、1年目としては一定の成果と手応えを得ることができました。
博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)の3社のスペシャリストが700人規模でスタートしHAKUHODO DX_UNITEDは、現在1,000人規模へと拡大しています。

パフォーマンスとエンゲージメントを向上させる最先端テクノロジー

メディアDX推進の中核として、2020年12月に発表、サービス導入を開始した広告メディアの次世代型モデル:AaaS(Advertising as a Service)の展開をさらに加速しています。AaaSが提唱するのは、単にメディアの広告枠を売るビジネスから、あらゆる広告メディアを横断的・統合的に運用し、クライアント企業の事業貢献につながる「効果」を提供するビジネスへの進化であり、収益モデルもコミッション型だけでなくフィー型のウェイトが高くなりますから、パフォーマンス(運用効率)とエンゲージメント(関係構築)の2つがKPIとなります。
パフォーマンスの向上には、「マーケティング」「テレビ×デジタル」「テレビ」「デジタル」の各レイヤーにおいてAaaSのシステムおよびデータウェアハウスを提供しています。当社グループは2018年からこの領域の強化に取り組んできており、業界でも最先端のサービスになっていると確信しています。
エンゲージメントの向上については、AaaSを活用するとともに、2022年に新設したブランドインテグレーション部門で、新しいコンテンツ等を活用したブランドイメージ確立手法への取り組みを進めています。
エンゲージメント効果を高めるには、やはりクリエイティブの力が重要です。クリエイティブには広義の意味があります。1つは企業のこれまでのマーケティング活動によって取得されたデータやメディア接触データなどをベースに、より効果的な表現やデザインといったクリエイティブを開発していくという当社グループの従来の強みをさらに進化させたものです。もう1つは、予約型広告から運用型広告へのシフトに伴ってPDCAが高速化する中で、適時適切に広告素材(クリエイティブ)を量産するテクノロジーを含んだケイパビリティを指します。2022年1月に発足したグループ横断型の研究開発組織「Creative technology lab beat」ではクリエイティブの自動生成AIツールの開発に取り組むなど、長年培ってきたクリエイティブ・ノウハウに最新のテクノロジーを導入しています。

AaaSによる、広告主の事業成果への貢献

広告主のメディアKPI(事業KGI)の達成

フルファネルマーケティングサービスの拡張と進化に向けて

ECや電子決済が拡大する中、フルファネルマーケティングの拡張に向けては、データ活用によってマーケティング効率をより高める提案力の強化が鍵を握ります。ECにおける配送や実店舗での接客などラストワンマイルにおいて最適なサービスを提供し、獲得されたデータを改めて次のコミュニケーション施策やマーケティング戦略設計に活かしていくという流れをつくることで、マーケティング全体工程におけるPDCAサイクルを実装することができるようになります。
また、メディアビジネスの強化に向けて、地方を含む日本全国の中小・ベンチャー企業へのアプローチも強化していきます。デジタル広告と同様にPDCAを回す運用型テレビスポット市場は拡大傾向にあり、その市場規模は現在の100億円から2025年頃には1,000億円規模になると予想されます。当社グループは、広告効果を最大化するテレビCMの運用サービス「TV AaaS」を活用し、SMB(Small to Medium Business)の開拓も進めていきます。2022年4月には、主に日本全国の地方で活動する中小企業やベンチャー企業に対し、地域密着型のデジタルマーケティングサービスを提供するソウルドアウトを連結子会社化しました。ローカルのテレビ局や新聞社への展開を強化するとともに、今後様々な連携を図っていきます。
さらに中長期的には、収益の多層化に向けて、サービス領域の拡大や進化への取り組みを進めていきます。モニター起点のマーケティング・コミュニケーション業務が増大する中、コミッション取引を引き続き収益の柱として維持しながら、よりいっそう広告効果を訴求するフィー型の取引を拡大させていきます。また、データ解析ツールなどのASPサービスや、クライアント企業との密接な連携・提携を図る共同事業などの推進による事業収益の獲得を目指します。

強みであるクリエイティビティ、
                    コミュニケーション設計力、統合力を武器に、イノベーションの創出を図ります

クリエイティビティとコミュニケーション設計力&統合力によって、さらなる成長を実現

取締役副社長 デジタル事業推進ユニット長 矢嶋 弘毅の写真

私たちの一番の強みは、クリエイティビティコミュニケーション設計力であり、これだけは他社に絶対に負けない自信があります。そこに時代が求めるデータ運用力パフォーマンス力をさらに磨き、すべてのケイパビリティを統合させることで、より高い競争力を発揮することができます。この統合力も私たちの大きな武器です。
またそれだけでなく、デジタルコミュニケーションの世界でも常に最先端でいなければなりません。
目下ミライの事業室マーケティング・テクノロジー・センター(MTC)などを中心に、メタバースWeb3などの新しいサービス開発にも力を入れ、生活者に常に魅力的な体験価値を提供しながらイノベーションの創出を図っていきます。
まさに当社グループが経営理念に掲げている「マーケティングの進化とイノベーション創出をリードする、世界一級の企業集団」を目指していきます。