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Hakuhodo コラム

事業開発からクリエイティブまで。地域企業の成長を後押ししたい|Next Creativity Map Vol.22 加藤晋吾

公開日:
2025/08/29

企業のコミュニケーションやマーケティング課題に、さまざまな「得意技」でクリエイティビティを発揮する博報堂のクリエイターやマーケター。連載「Next Creativity Map」では、クライアントの課題に寄り添い、解決、変革へと導くランドマーク人材にスポットを当て、その「技」を解き明かします。第22回は、アクティベーションディレクターの加藤晋吾。プロモーションからコマースへと領域を広げ、地域事業支援にも力を入れる加藤が、全国の熱意ある企業とともにチャレンジすることとは?

プロモーションの職能は「なんでもやれる」こと。商品をつくって売るまですべてに関わりたい

-はじめにこれまでのキャリアについて教えてください。

加藤:2005年に新卒で入社。プロモーションの部門に配属されました。当時はキャンペーンの企画を立てたり景品をセレクトしたり、マーケティング施策全体に関わるというより、販促的な活動が中心。
それが、2013年くらいからでしょうか。デジタル化が進んだことでウェブ広告が主流になり、テレビCMなどのマスクリエイティブ以外でもやれることの幅が格段に広がりはじめました。その後TBWA\HAKUHODOに3年間出向してクリエイティブを学び、統合マーケティングのスキルを磨いたというのが大まかなキャリアになります。

-入社当時から考えると、仕事の領域はかなり変化しましたか?

加藤:変化したというより、移行したというイメージかもしれません。プロモーションの職能は「なんでもやれる」ということ。ノベルティの企画も立てれば、イベントブースをつくることもあるし、期間限定のポップアップショップもつくります。近年はウェブの需要が増えたことでデジタル領域に軸足を置いています。

でもこの数年、新しい領域に足を踏み出したいという気持ちが強くなって、コマース領域への関心が高まったんです。商品をつくって売るところまですべてに関わりたいと考えて、2023年にHAKUHODO EC+というプロジェクトに有志で参加しました。

マーケティングだけでなく、経営戦略から協業する。目指していた働き方にやっと辿り着いた

-具体的にはどんな取り組みに参加しているのですか?

加藤:メンバーの多くはECコンサルのプロフェッショナルなので、彼らと一緒に大手オンラインショッピングモールの売上げアップのための施策に取り組んだり、中小の企業さまと協業して商品開発からブランディングまでお手伝いするなど多岐にわたっています。
ものをつくり、それがECで売れて、さらにはマス商品になる。その過程にクリエイティブとして関われることがすごく楽しいんです。
私の出自であるプロモーションは、お客さまが実際に「買う」というマーケティングの最後の部分を担っていた仕事。どうすれば手に取っていただけるか、それを突き詰めて考えていたので、コマースも私にとっては真新しい世界ではないんですよね。やっていることがデジタルに置き換わっただけで、生活者との向き合い方は変わらないんです。

-コマースに興味を持ったのはプロモーションで培った職能が活かせると考えたからなのでしょうか?

加藤:それもありますし、大学で経営学を学んでいたこともあって、企業の決算書やPLを見るのが大好き。マーケティング施策だけでなく、経営戦略もあわせて協業できる仕事をしたかったんです。HAKUHODO EC+のクライアントにはローカルの中小企業さまも多いので、経営者と対峙しながら事業開発に取り組むことができて、すごくやりがいを感じています。

-学生時代から身につけていた経営の観点と、プロモーションで培った生活者との接点、そのふたつがコマースという領域でつながったんですね。

加藤:そうですね。学生時代から目指していた働き方に、20年かけてやっと辿り着いたという感じです。この1、2年でようやく自分のスタイルができてきて、春から地域コミュニケーションデザイン事業ユニットの所属になりました。博報堂の地域会社に出向いて、ローカルの企業さまの事業パートナーとして協業させていただくのが私の本務になります。

社長と直接対峙してつくりあげた、サプリメントの新ブランド「フコイダンバリア」

-加藤さんが事業パートナーとしてどのようにクライアントと協業しているのか、具体的な事例を交えて教えてください。

加藤:福岡のヴェントゥーノという会社の事業開発事例がわかりやすいかもしれません。海藻から採れる「フコイダン」という成分を主原料に、九州大学等の研究機関との共同研究で20年以上健康食品や化粧品をつくってきた会社さまです。二代目の社長にバトンが渡されるタイミングで、我々が事業パートナーとして協業させていただくことになりました。
ここで取り組んだのが、フコイダンを使ってまったく新しい商品、新しいブランドを立ち上げるというプロジェクト。ビューティケアブランドをつくるなどさまざまなアイデアがあったのですが、数ヶ月提案を重ねても方向性が決まらないという状況に陥ってしまいました。
これを打開するためにトライしたのが、直接社長と膝を突き合わせて議論し、その場でアイデアをふくらませるというやり方。定例会議を行なって提案、を繰り返すのではなく、対話を通して会社の目指す方向性を共有していくというスタイルでプロジェクトを前進させていきました。それまでなかなか決めきれなかった商品の方向性やコンセプトも順調に決まり、4ヶ月後には商品発売という異例のスピード感でしたね。

2024年10月、10代から50代まで幅広い年齢層をターゲットとしたサプリメントブランド「フコイダンバリア」をローンチ。タブレット、ゼリー、ドリンクの3タイプで展開する。

商品開発の要は「生活者発想」を生かして、理性だけでなく、本能を刺激すること

-どのような商品をつくるか、そのコンセプトまで携わったということですが、商品開発をするうえで大切にしていることを教えてください。

加藤:サプリメントって効能を得るために飲むものなので、「1日何錠飲まなくちゃ」と義務的な行動になりがち。飲む楽しさってあんまりイメージできないですよね。でも口に入れるものなので、本当は味わいたい。サプリメントの効能とおいしさをつなぎたいという思いがありました。
そこで、従来のように水で服用するのではなく、タブレットやゼリー、ドリンクとして味わえるように開発したのが「フコイダンバリア」。
博報堂が大切にしている「生活者発想」の考え方で、生活者の理性だけでなく、本能を刺激する商品開発という視点を大切にしています。効能を得たいという理性と、おいしく味わいたいという本能を掛け合わせてデザインするということですね。

-博報堂の生活者視点も取り入れて、新たな商品開発を行ったのですね。

加藤:そうですね。お菓子のように味わえるサプリなら、これまでターゲットだった40代以降のお客さまだけでなく、10代20代の若い世代までマーケットを拡大することができるはず。それに伴い、健康食品の通販然とした訴求ではなく、もっと新しいコミュニケーションを目指して、ブランドサイトの仕立てにもこだわりました。
「ミスフコダイン」という地球外生物のキャラクターをつくり、ストーリー仕立てで展開していくブランドコミュニケーションは、ヴェントゥーノさんにとっても新しいチャレンジだったと思います。

熱量ある経営者と働けることが仕事の醍醐味。企業の成長を地方創生にもつなげたい

-「生活者発想」の視点をもって、事業開発や新たなマーケット開拓に取り組んでいらっしゃいますが、今後の展望をきかせてください。

加藤:ヴェントゥーノさんのように、自社の技術を社会の幸せのために役立てたいと熱量を持って考えている方とご一緒できるのは本当に幸せなこと。この仕事の醍醐味と言えるかもしれません。会社の規模にかかわらず、新しい技術やサービスを持っている企業さまを日本全国、さらには世界へと広げていくお手伝いがしたい。自社の技術をどう活用すればいいか、ヒントを探している企業さまがあればぜひお声がけいただきたいです。
いまも各地域で企業の経営者と30分面談させていただく、という活動をしているのですが、ビジョンがまとまっていなくてもとにかく思いを聞かせていただいて、その場で青写真を描いていくんです。目指す方向が決まったら、生活者発想でマーケットとどうマッチングさせるか、どのクラスターから段階的に広げていくかなど、さまざまな視点でサポートすることができます。
地域の企業さまをサポートすることは、結果的に地方創生につながること。事業計画からクリエイティブまで一貫して協業できるパートナーとして、ぜひ我々博報堂を使っていただきたいですね。

加藤 晋吾
地域コミュニケーションデザイン事業ユニット アクティベーションディレクター

1982年生まれ。東京都出身。企業の経営者と並走し、事業開発から商品ブランディング、コマース拡大まで一貫して伴走する。生活者発想と経営的視点を掛け合わせ、地域企業の成長と地方創生に挑む。

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