コンテンツ支出額は一人当たり8.1万円の高水準、映画の劇場鑑賞がコロナ以降最高額を更新
「デジタルで広げ、リアルで稼ぐ」エンタメ収益構造が鮮明に
株式会社博報堂DYホールディングス、株式会社博報堂、株式会社博報堂テクノロジーズの共同研究プロジェクト「コンテンツビジネスラボ」は、「コンテンツファン消費行動調査2026」を実施し、そのデータをもとにアニメや音楽など全11カテゴリに関する、「リーチ力・支出喚起力※ランキング」を算出しました。
<調査結果サマリー>
1. コンテンツ支出額は1人当たり81,022円。前年より微減も過去2番目の高水準をキープし、熱心なファン1人当たりの支出額が支える市場構造が定着。
2. 「映画」ジャンルが好調。劇場鑑賞など、リアルイベントへの支出額がコロナ禍の2021年調査以降最高を記録し、デジタルコンテンツとの両輪で市場を牽引。
3. リーチ力は『鬼滅の刃』が6年連続首位。支出喚起力は『Snow Man』が460億円で首位に。音楽アーティストとして『Snow Man』と『Mrs. GREEN APPLE』が初の両ランキングトップ10入り。
<調査結果詳細>
■ コンテンツ支出額は8万円台をキープ。依然として高いファンの熱量が浮き彫りに
生活者のコンテンツへの年間平均支出金額は81,022円となり、調査開始以来最高を記録した前年(85,052円)からは微減となったものの、過去2番目となる高水準を維持しています。

一方で、コンテンツに支出する人数(支出層)は、概ね横ばい〜微減のトレンドが昨年から継続しています。レコメンド機能などにより、自身の興味と違うジャンルのコンテンツに触れる機会が減っていることや、無料で楽しめるコンテンツが増えたことが、支出層が伸び悩む要因として推察されます。そのため、コンテンツ市場は全体の人数よりも熱心なファン1人あたりの支出額が市場を支える構造が続いていると考えられます。

■ 「映画」市場が伸長。デジタルで広げ、リアルで稼ぐビジネスモデルを確立
ジャンル別の推定市場規模では、「音楽」が7,036億円で最も高い結果となりました。また、前年比では「映画(同+1.9%)」「マンガ・ライトノベル(同+3.6%)」「バラエティ番組・ドラマ(同+4.7%)」「美術展・博覧会(同+25.8%)」の4ジャンルが伸長しました。なかでも「映画」ジャンルは『国宝』や『鬼滅の刃』シリーズなどのヒットで興行収入が過去最高を記録した社会背景と連動するように、劇場鑑賞をはじめとするリアルイベント市場への支出が大きく増加し、2021年のコロナ禍以降、最高額を更新しました。

また、支出カテゴリごとにみると、スマートフォンやPC等を通じたデジタルコンテンツ市場での支出額が順調に伸びています。中でも、コロナ前の2019年から現在にかけて「音楽」「映画」「マンガ・ライトノベル」「アニメ・特撮」などのジャンルで堅調な伸びが表れていました。

「デジタル(配信やSNS)で日常的にコンテンツに触れ、プレミアムな体験としてリアルイベント(劇場、ライブ、展覧会など)やグッズにお金を払う」という、デジタルとリアルを掛け合わせたハイブリッドな収益構造が確立され始めていることがうかがえます。
■ 「リーチ力・支出喚起力」トップ20:接触機会の拡大と支出機会の創出を両立したコンテンツが上位へ
どれだけ多くの生活者に接触できているかを示す「リーチ力」と、ファンに支出を促す力を示す「支出喚起力」の2026年ランキングでは、前年からの推移において特徴的な傾向が見られました。

「リーチ力」では、『鬼滅の刃』が1,048万人(前年比+37万人)で6年連続の1位となりました。同作はアニメシリーズ劇場版の公開があったことで、利用層(支出の有無を問わず、該当コンテンツを視聴や利用している人)とともに支出層を大きく増やし、推定市場規模は277億円に上っています。また、『ポケットモンスター』や『名探偵コナン』といった長年人気のIPが引き続き上位を維持する中、実写映画が話題を呼んだ『国宝』(506万人)が18位に初ランクインしました。
一方、「支出喚起力」の上位コンテンツでは、複数媒体への露出拡大によって接点(リーチ)を広げつつ、周年など印象的な節目を捉え「リアル体験」の機会を提供することで、支出を大きく伸ばす傾向が見られました。
具体的には、1位の『Snow Man』(460億円)と6位の『Mrs. GREEN APPLE』(255億円)が、バラエティやドラマ、映画、SNS、タイアップ等の多角的なメディア露出により利用層を大幅に拡大しました。その結果、「リーチ力」ランキングにおいて、『Snow Man』は前年比+296万人で前年20位圏外から9位にランクアップ、『Mrs. GREEN APPLE』は前年比+116万人でリーチ力2位へと躍進し、それぞれ音楽アーティストとして初の両ランキングトップ10に入りました。
さらに、それぞれデビュー5周年・10周年の節目にあたり、作品はもちろんのこと、大型ツアーなどのリアルイベントを実施したことで、1人あたりの平均支出金額も大きく上昇。リーチ力と支出喚起力の両面で急成長を遂げています。
また、活動終了に向けた取り組みが本格化した『嵐』は、利用層の増加に加え、ファンの熱量の高まりから1人あたりの平均支出金額が顕著に上昇し、推定市場規模340億円で前年の20位圏外から2位へ急浮上しました。
このように、2026年の上位コンテンツの動向からは、周年などアイコニックな節目を捉えた多角的な露出によって幅広い生活者との接点(リーチ)を広げる「入口の拡大」と、リアル体験を中心に購買行動を促す「支出機会の創出」を機能的に連動させる重要性が浮き彫りとなりました。
1人あたりの平均支出金額が高水準を維持する昨今の市場環境においては、デジタルなど多角的なメディアを活用した認知拡大による新規顧客獲得と、新規・既存顧客双方に満足してもらう体験を提供する"両輪"を用意できることが、コンテンツの市場規模を拡大させる主要な要素になっていると考えられます。
※リーチ力・支出喚起力:企業のコンテンツ活用を促進するために、コンテンツビジネスラボが開発した独自指標のこと。
・リーチ力:そのコンテンツが一年間に到達できる人数を表す指標。コンテンツの力を活かして幅広い生活者に自社商品やサービスを知らせる際に参照。この指標が高いと、キャラクタータイアップ・CM への起用・PR などの活用に向いている。
・支出喚起力:コアファンによる、年間の関連市場規模の指標。自社の商品やサービスそのものにコンテンツを組み込んだオリジナルの企画を開発し、コンテンツファンの実際の購買を目的とする際に、どのくらいの売上規模が見込めるかを推計することができる。
■ 調査概要
・調査名称:コンテンツファン消費行動調査2026
・調査方法:インターネット調査
・調査地区/対象者:全国15~69歳の男女 (全国7エリアを性年代別人口構成比で割付)
・有効回収サンプル数:10,000サンプル
・調査時期:2026年2月26日(木)~3月9日(月)
・調査機関:QO株式会社
※全11カテゴリ:「ドラマ・バラエティ」「アニメ・特撮」「マンガ・ライトノベル」「小説」「映画」「音楽」「ゲーム」「美術展・博覧会」「スポーツ」「レジャー施設・イベント」「特定のタレント・人物」
■ 調査の特徴
・コンテンツファンの行動を、「興味」「利用」「支出」「ファン」の4行動に分類し把握
・「誰が」「何に」「いくら」支出しているかを分析したリアルなデータ
・全国7エリアを性年代人口構成比で割付した調査設計により、市場規模の推計が可能
・支出喚起力は、各カテゴリのファン上位 5 コンテンツのカテゴリの計でファン推計人口30万人以上かつ、支出n数=10以上のみ掲載
・既存の各業界団体別の出荷/売上データからは把握できなかった支出項目も捕捉
・シングルソースデータのためコンテンツのジャンルをまたいだファン行動が明らかに
・どんな機器やサービスを使っているか等のコンテンツ利用環境とのクロスデータも算出可能
・コンテンツファンの行動だけでなく、意識・価値観、コンテンツ以外のサービス購入・関心も聴取
■ 追加分析サービス
追加のサービスとして、コンテンツファンの詳細な性年代属性・ライフステージや、人数のボリューム、支出金額などの情報を詳細に分析し、ご提供しています。直近一年間に購入した耐久財やサービス、保有デバイス・利用しているネットサービス・よく利用するメディア、週一回以上訪れる店舗など、ファンのコンテンツ利用以外の行動を組み合わせた分析ができるほか、バブルチャートなどのグラフで可視化しながらコンテンツ間の比較も可能です。

また、ご相談に応じ、調査データやAIを用いてより効果的に分析するためのダッシュボードの制作提供、カスタマイズ対応も行うことが可能です。
「リーチ力・支出喚起力ランキング」とあわせて活用することで、コンテンツのポテンシャルと、その具体的な活用方法が明らかになります。
コンテンツビジネスラボでは、本サービスによって、「コンテンツ」「ファン」「企業活動」の3者を効果的に結び付け、コンテンツビジネス活性化に向けて支援をしていきます。
詳しい追加分析をご希望の企業様には、勉強会も行っています。
追加分析サービス、分析ダッシュボード構築、勉強会、AI/テクノロジーを活用したマーケティング/ビジネス支援などに関するお問い合わせは、下記の窓口までお問い合わせください。
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■ コンテンツビジネスラボ

独自調査「コンテンツファン消費行動調査」の知見をもとに、近年企業のニーズが高まっているコンテンツを起点とした広告やビジネス設計の支援を行う専門チーム。独自のヒット研究やデータ解析を通して、企業やコンテンツホルダーが実施するコンテンツを起点とした広告コミュニケーションの設計支援や、新規事業・サービス展開のマーケティング支援等を行っている。博報堂DYグループ内のナレッジ開発職、マーケティングプラナー、コンテンツプロデュースの専門家などで構成されるメンバーは、スポーツ、ドラマ、アニメ、ゲーム、音楽など、さまざまなカテゴリの熱心なファンでもあり、コンテンツに対する豊富な知見と情熱を有している。