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博報堂DYホールディングス、「IJCAI 2025」にて主著論文採択
―広告効果を考慮したHuman-in-the-Loop最適化手法と、バナー広告デザインへの応用を提案―

公開日:
2025/07/02

株式会社博報堂DYホールディングス(東京都港区、代表取締役社長:西山泰央)は、人工知能領域におけるトップカンファレンスの一つである「International Joint Conferences on Artificial Intelligence 2025(以下、 IJCAI 2025)」において、当社の研究部門 Human-Centered AI Institute(代表:森正弥CAIO)に所属する岩井皓暉研究員が筆頭著者である論文が採択されたことをお知らせいたします。本論文では、広告効果を考慮したHuman-in-the-Loop最適化手法と、バナー広告デザインへの応用を提案しています。

「IJCAI (International Joint Conferences on Artificial Intelligence)」は、「NeurIPS (Conference on Neural Information Processing Systems)」や「ICML (International Conference on Machine Learning)」と並び、人工知能領域におけるトップカンファレンスの一つです。IJCAI 2025では約5,404本の論文投稿があり、全体の採択率は19.3%でした。このたび採択された論文は、2025年8月にカナダで開催される「IJCAI 2025」での発表を予定しています。

本論文は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(小山裕己博士、濱崎雅弘博士、後藤真孝博士)との共同研究の成果です。

■研究の背景、論文の概要
Human-Centered AI Instituteでは、「人間中心のアプローチによるAI」という理念のもと、AIが人間の力を引き出すクリエイティブの可能性拡張や、人間とAIの共創の実現を目指し研究・実践に取組んでいます。本研究では、「デザイナーの主観的な好み」と「アルゴリズムによって予測される広告効果」の両方を考慮しつつ、広告効果が一定以上になるようなDesigner-in-the-Loop最適化フレームワークを構築。より魅力的なバナー広告画像を効率的に制作する技術への応用を提案しました。
一対比較データ(どちらがより好ましいか)を用いて目的関数の最大化を行う選好ベイズ最適化(PBO)は、主観的な評価に対して絶対的な数値を付与することなく、相対的な好ましさのみを活用できる点から、グラフィックデザイン領域におけるHuman-in-the-Loop最適化に広く利用されています。しかし実際のバナー広告制作では、デザイナーの経験に基づく判断や評価に加えて、クリック率(CTR)などの客観的なパフォーマンス指標をあわせて考慮する必要があり、従来のPBOでは、実問題への応用には限界がありました。
本研究では、デザイナーによる好ましさのフィードバックとCTR予測値の両方を考慮しながら、より良いデザインを探索する「制約付き選好ベイズ最適化(CPBO)」のフレームワークを提案、さらにこのフレームワークをもとに開発したプロトタイプシステムのユーザスタディをクリエイティブスタッフに対して実施しました。クリエイティブスタッフからは、本フレームワークに対して肯定的な評価が得られ、実務におけるデザイン作業の負担軽減や効率化への貢献が期待されることが示されました。

  • 論文タイトル : Constrained Preferential Bayesian Optimization and Its Application in Banner Ad Design
  • 著者 : Koki Iwai, Yusuke Kumagae (Hakuhodo DY Holdings Inc.), Yuki Koyama, Masahiro Hamasaki, Masataka Goto (National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, AIST)
  • URL : https://arxiv.org/abs/2505.10954

■今後の展望
本研究は、Human-in-the-Loop最適化に制約条件を取り入れる新たな手法を提案し、広告デザイン実務への有効性を実証実験を通じて示したものです。広告デザインにとどまらず、製品デザインなど「好み」と「制約」の両立が求められる幅広い分野への応用が期待されます。Human-Centered AI Instituteは引き続きAIによる人間のクリエイティビティの拡張に向けた研究開発に取り組んでまいります。

本件に関するお問い合わせ

株式会社博報堂DYホールディングス グループ広報・IR室 倉品・塚田 koho.mail@hakuhodo.co.jp

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