株式会社博報堂DYホールディングス(東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)は、社会の中に新しい幸せを生み、つなげ、広げていくことを目的とした「これからの幸福感」プロジェクトで、このたび「はたらく世代の幸福感調査(関東・関西編)」を実施し、地域や年代・性別における幸福感(日ごろから幸せに暮らしていることを指す)の違いやその要因などの実態がわかりましたのでお知らせします。
※ 調査エリア:(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)・関西エリア(大阪府、兵庫県、京都府)
現在の日本社会は新型コロナウイルスの影響のみならず、生活者の価値観や働き方意識、企業における健康経営の推進などが刻々と変化しており、それにともないさまざまな新しい課題が生じています。また日本は、2022年「第10回国連の世界幸福度レポート」において54位(G7加盟国最下位)という結果になり、生活者自身が幸福と思えていない現状が明らかになっています。しかし、日本のWell-being元年と言われた2021年ごろより経済成長だけでなく、個人、社会全体の幸せの在り方を考える時代へと変わりつつあります。
「これからの幸福感」プロジェクトでは、生活者が抱える課題の解決や新たな価値を提供することで、生活者、社会の中に新しい幸せを生み、つなげ、広げていくことが重要だと考えています。そこで、日本のはたらく世代を対象とした、地域や年代・性別における幸福感の違いやその要因などの実態を把握するための「はたらく世代の幸福感調査(関東・関西編)」の調査を行いました。全体では79.3%が幸福感(「日ごろから、あなたは幸せに暮らしていると思いますか?」に回答)を感じており、2エリアの比較では関西の幸福感が相対的に高いことがわかりました。
関西の幸福感が高い要因として「自由に本音で話しあった方が楽しい」などの「本音項目」、「日々、楽しく笑える場面がある」などの「共鳴項目」、「くだらないことでも人と話しをする時間は楽しい」などの「シェア項目」のすべての項目で関西が関東を上回ったことと相関があるのではないかと考えております。また、「本音」「共鳴」「シェア」の3項目に全てに反応した人は関西の方が関東以上に多く、幸福感が高い傾向がありました。日常生活の中で、本音で話し、お互いに共鳴し合い、広げていくという行為が幸福感を高めることに繋がっていく可能性を見出しました。
「これからの幸福感プロジェクト」はこれからも、社会の中に新しい幸せを生み、つなげ、広げていくために、さまざまな調査や研究を続けてまいります。
<調査結果のサマリー>
①関東と関西の比較では、関東に比べて関西の幸福感が相対的に高い
②性別・エリア別で見ると関西女性の幸福感がトップ
③要因分析結果では、「本音」「共鳴」「シェア」すべての項目スコアで関西が関東を上回る
<調査結果の概要>
● 幸福感においては関西82.5%、関東は76.0%、元気感においては関西77.6%、関東71.2%となった。
● 性・年齢・職業別で比較すると幸福感/元気感ともに関西の女性、20/30代で高い傾向
● 協調的幸福感尺度(Interdependent Happiness Scale:IHS)
関西女性をトップに、関西のあらゆる属性が関東を上回る結果になった
※協調的幸福感尺度(略称 IHS)は、「他者との協調性と他者の幸福」、「人並み感」、「平穏な感情状態」に焦点を置いている
協調的幸福感尺度について
Hitokoto, H., & Uchida, Y. (2015). Interdependent happiness:
Theoretical importance and measurement validity. Journal of Happiness Studies, 16(1), 211-239.
引用表示:スコア算出方法について
サンプル対象者一人ひとりにおける、項目ごとの5段階(「1. 全くあてはまらない」~「5. 非常にあてはまる」)の反応値に1点~5点までの重み付けを行い、算出したスコアを以下の第9項目までの足し上げた総合計スコア。
● 分析結果では、本音、共鳴、シェアすべての項目スコアで関西が関東を上回っていた。
・本音項目:自由に本音で話しあった方が楽しい(関西78.6%、関東73.6%)
・共鳴項目:日々、楽しく笑える場面がある(関西74.2%、関東66.0%)
・シェア項目:くだらないことでも人と話しをする時間は楽しい(関西79.2%、関東77.2%)
● 「本音」「共鳴」「シェア」すべての項目スコアで関西が関東を上回るという結果を受け、その反応は同一のものなのか、別々のものなのか「本音」「共鳴」「シェア」の3項目に全て「はい」と答えている人を見てみることにした。
関西の方が関東以上に「本音」「共鳴」「シェア」の3項目に全て「はい」と答えている人が多い。
● 関東・関西ともに「本音」「共鳴」「シェア」の3項目全て「はい」と答えている人は幸福感が高い傾向。
京都大学 内田由紀子 教授(社会心理学・文化心理学)
<有識者の見解>
今回の調査の結果でとても大切なメッセージは、自らの思いを伝え、他者と感情的に共感・共鳴し、面白かった経験を人とシェアしようという思いがあることが、ウェルビーイングにつながっている、ということです。かつて幸せは「あくまで個人の問題」とされ、個人がスキルアップしたり、お金を稼いだり、得られたお金で余暇を楽しんだり、という蓄積→消費のサイクルから得られる個人的幸福感が、マーケットの中でも注目されていました。しかしこれからより重要になるのは他者と幸せを共有することができ、いろいろな幸せの形があることを皆で受け入れていくような場所づくりです。関西の風土が持つ、緩やかで、「ま、そんな人がいてもおもしろいやんな」と許容し、面白がる文化的基盤が、「場所づくり」を支えてきたのかもしれません。失敗してもその経験を人と共有して、笑いに変えたりもできます。他者の多様性やチャレンジを受け入れることで、自らの日常にも感謝し、肯定できるようになるのではないでしょうか。
<調査概要>
対象者 :20代から50代までの有職者(働いている人)を対象
※パート及び有職者をパートナーとして持つ専業主婦・主夫は対象
サンプル数:関東エリア(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)・関西エリア(大阪府、兵庫県、京都府)各エリア3000サンプル
実査時期:2022年8月12日から2022年8月16日
調査企画:博報堂DYホールディングス、博報堂、Hakuhodo Planning House、大広
調査会社:H.M.マーケティングリサーチ