計画の概要
2025年3月期〜2027年3月期<2024年6月発表>
博報堂DYグループ(以下、当社グループ)は、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画(2024年6月決算説明会資料)を発表しました。
同計画の概要は以下の通りです。
環境認識
メガトレンド
当社グループを取り巻くビジネス環境は、これまで以上に大きく、かつ急激に変化しています。大きくかつ急激なパラダイムシフトが生まれ、将来の予測が困難なこの不確実な環境においては、常時変革が求められる時代になりつつあります。

社会の変化
企業から一方的な情報伝達を行う「to C」の時代から、「with C」の時代を経て、これからは、生活者があらゆるものの中心となる「生活者主導社会」が本格的に到来するといえます。また、生活者、企業のすべての行動において「サステナビリティ」が重要なファクターとなりつつあります。生活者とサステナビリティ、この「2つのS」を意識することが重要な時代に突入したということです。

テクノロジーの変化
急速なテクノロジーの進展により、産業構造、ビジネス構造、ヒトの役割の再定義が進行しています。ヒトとテクノロジーの共創により、テクノロジーが人間の能力や可能性を拡張し、最大の価値を生み出すことがより重要になります。

企業ニーズの変化
この大きな環境変化を受け、企業ニーズにも変化が見られます。
市場の成熟と破壊的イノベーションが繰り返される中で、抜本的な事業変革に取り組む企業も増加しています。そのような状況下では、従来の「何を伝えるか」という広告の領域のみならず、「どのような価値を創造するか」という 上流のコンサルティングニーズや、 「どのように生活者とつながり続けるか」という CRMやデジタルマーケティングへのニーズが高まっています。
広告を超えた、より幅広い課題の解決へと企業ニーズが広がりつつあります。

このように常時変革が求められる時代に、ブレない強固な価値観が必要と考え、当社グループは「グローバルパーパス」と「目指すべき姿」を定めました。このグローバルパーパスは、「当社グループの存在意義」や「当社グループで働くことの意味」について、改めて確認し、国内外のグループ会社参画のもと、約半年をかけて、策定しました。
グローバルパーパスと目指すべき姿
目指すべき姿
当社グループは、このグローバルパーパスを実現するために、従来の“広告会社グループ”の枠を超え、“クリエイティビティ・プラットフォーム”へと進化していくことを目指します。グループ内外の「人/企業/アイデア/テクノロジー」といったあらゆるものを広くつなぐことで新たな関係価値を創出し、また、その範囲を拡張することで、当社グループ全体の成長を創りだします。

6つの事業領域
クリエイティビティ・プラットフォームを構成する6つの事業領域
当社グループが、生活者を起点としたクリエイティビティで、新たな関係価値を生み出すことのできる事業領域として、以下の6領域を設定しました。

事業構造の変革
当中期経営計画期間を「収益性改善と成長オプションの創造期」と位置づけ、以下の3つの観点で事業構造変革を進めます。6つの事業領域はそれぞれ異なるビジネスモデルとして成長し、さらに相互に連携しあう形へと事業構造を変革します。

①マーケティングビジネスの構造改革
クライアントのニーズである「統合マーケティング」へ対応するために、この領域における最適なサービス設計、サービス提供体制を構築すべく、デジタルマーケティング領域、コマースビジネス領域への対応力を強化します。
加えて、生活者データやAI技術を日常の業務で活用するためのシステム、統合マーケティングプラットフォーム“CREATIVITY ENGINE BLOOM”を開発し、統合マーケティングの高度化・効率化を推進します。

デジタルマーケティング
デジタルマーケティング領域では、「Hakuhodo DY ONE」をコアに、グループのリソースやノウハウを集約し、競争力の強化、生産性の向上、収益力の強化を通じて、業界NO.1のポジションを目指します。
コマースビジネス
購買行動が大きく変化している中で、買い手、売り手両方の視点から、購買体験を全方位でデザインすることでコマース領域の事業変革パートナーとなることを目指します。
独自の“生活者データ”と“クリエイティビティ”を活用し、購買体験を核とした全方位の事業変革を推進します。

②新たな成長オプションの創造
コンサルティング、テクノロジー、コンテンツ、インキュベーションの各領域に対し、必要に応じて投資を行い、事業基盤を構築し、将来のグループの収益の柱として育成します。

③グローバルビジネスのリモデル
欧米では戦略組織kyuが専門性・先進性のある企業をグループに招き入れることで、事業拡大を推進してきました。一方、アジア各国は博報堂中心に日系企業、ローカル企業のマーケティング支援を提供しており、デジタルマーケティングへの対応力を強化しています。
今後はこのふたつの事業体が主にデジタルマーケティング領域で連携してユニークな「モダンネットワーク」を形成することで、新たな企業のニーズに対応していきます。

加えて、グループの競争力を高める各種取組を推進します。
AIの活用
AI領域では人間中心のアプローチでAI技術の先端研究開発を行う研究所「Human-Centered AI Institute」を設立しました。クリエイティブノウハウを反映させたAI研究や人のクリエイティビティを拡張するAI技術の研究を統合マーケティングプラットフォームの各種ツールに活用していきます。

グループ経営基盤の強化
前中期経営計画期間に設立した機能会社2社を中心に横串機能の強化を継続し、グループとしての競争力をさらに高めます。

これら、事業構造変革に資する取組を推進すると同時に、サステナビリティの観点でも以下の取組を推進します。
サステナビリティ
経営
当社グループは、人を中心としたサステナブルな経営を推進することで、社会価値創出を目指しています。E、S、Gそれぞれの観点で様々な取り組みを行う事に加え、社会課題に対応する人財の育成も進め、生活者の想いがあふれ、いきいきと活躍できる社会を実現していきます。

コンプライアンス徹底の取り組み
当社グループは、コンプライアンスの遵守、及びガバナンスの改善・強化に向けて、各種取り組みを進めています。
博報堂DYホールディングスの社長が委員長、グループ各社社長を委員とするグループコンプライアンス委員会を通じて、グループ全体のコンプライアンス活動を統制していくことに加え、各グループ会社でのコンプライアンス徹底を推進しています。
また、博報堂では信頼回復に向けて、「ビジネス意識・行動改革委員会」を設置し、コンプライアンス強化を推進しております。
加えて専門組織「グループコンプライアンス室」を設置し、グループ全体でのコンプライアンス徹底の取組を推進していきます。

中期経営目標
中期経営計画の目標として以下の数値を設定し、達成を目指します。

長期的な将来像
当中期経営計画以降も事業構造の変革を継続し、成長領域※3で、2032年3月期をターゲットに、5割程度の利益を生み出す構造を目指します。

当社グループの創出する関係価値のひろがり
当社グループは、新たに策定したグローバルパーパスを前提に、従来の“広告会社グループ”の枠を超え、6つの事業領域に強みを持つ“クリエイティビティ・プラットフォーム”への進化を目指します。
そのためには、ダイナミックに事業構造の変革を進め、中長期での大きな成長を生み出し、企業価値の向上に努めていきます。
